京劇の中で人気の高い演目をご紹介いたします。
漢末期から三国時代にかけての政治・軍事抗争を、多数の登場人物と複雑なストーリーで描いた広大なスケールの歴史長編小説を京劇独特の手法を用いて表現しています。
曹操軍営から劉備夫人を救出した関羽は古城へたどり着くが、曹操側に寝返ったと思い込む張飛は関羽を城から閉め出す。関羽は追ってきた曹操軍の将軍蔡陽を斬り、自害をしてでも誤解を解こうとするが、それを喜ぶ張飛の姿に傷つき悲しむ。関羽と張飛の義兄弟の間に生じた感情の衝突、城外に閉め出された関羽が援軍を断られた際の怒り、蔡陽を斬る決断を下す時の迫力、斬った後の威風堂々たる姿が見所。唱、芝居、立ち回り、これぞ京劇!
賢さ、美しさ、滑稽さなど兼ね備えた孫悟空が、人間の想像を超えた見事な知恵や武芸を用いて人々を楽しい幻想的な世界へと導いていきます。
長年修行を積んだ孫悟空は自分の手にふさわしい武器を探しに東海の竜宮へいく。海の中で出会う海老や亀と愉快なやり取りを繰り広げ、アクション性に富む軽快な身のこなしで竜王らを討ち負かし、定海神針(如意棒)を手に入れて嬉しい気分で花果山に戻っていく。
天上の玉帝に桃園の番をいいつかる孫悟空は、西王母の誕生会に招かれなかったことに腹を立て、お供えの桃や酒を飲み食いし神様になる薬「金丹」を盗む。追っ手の天兵達を見事に討ち倒して花果山に帰る。猿の特徴を捉えたユーモラスなしぐさが生き生きと描かれる!
漢民族の「宋」と満州民族の「金」との間の民族間の非情な戦争を描いた宋代の物語です。
全国侵略阻止のため大雪の中を行軍した大将楊再興は、一人敵陣に斬り込み金兵を討ち負かす。勢いに乗りさらに敵を追うが、罠にはまり一面雪に覆われた少商河に誘い込まれる。必死に進むものの、ついに人馬もろとも河に落ち、敵の矢に射られて壮烈な死を迎える。
宋末期、金国との決戦中、将軍高龍は敵情に疎いという理由で前線に出してもらえず、山頂で軍旗の護衛を命じられるが、味方の不利を見て命令に背き一人下山し敵を次々に破る。さらに追撃した高龍は、山頂からの鉄滑車攻撃を浴び、必死にかわすがついに命を落とす。槍での立ち回り、滑車を飛び越える技は、京劇ならではの大変高度な技術が必要とされる!
海外でも大変人気のある京劇の立ち回り喜劇の名作です。
任堂恵は流刑になった焦賛将軍を密かに護衛しようと後を追う。途中、焦賛らは三岔口の宿に泊まるが、宿の主人劉利華は客が焦賛だと気づき救出しようとする。そこへ任堂恵が到着。劉利華は任堂恵を焦賛暗殺の刺客と勘違い。深夜、任堂恵の部屋に忍び込み、二人は真っ暗闇の中、ドキドキ、ハラハラの大立ち回りを繰り広げる!互いに相手が見えないという設定のもと、スリルとスピード感のある迫真の立ち回りと、ユーモラスで大げさな仕草が絶妙のコントラストを見せる!
強きを挫き弱きを助ける梁山泊の英雄を描いた長編小説です。
高世徳は寺で見かけた美しい林沖夫人を自分のものにしようとするが、林沖が駆け付けそれをとがめる。高世徳は父親に泣きつき、林沖を冤罪で流刑に処した上、護送の途中の野猪林で暗殺しようとする。義兄弟の魯智深に命を救われた林沖は、妻が自殺に追い込まれたのを知り、怒りと悲しみのあまり追っ手を殺害して仇を打ち、梁山泊にその身を預け108人の義士の一人となる。文武兼備の名作!
傳朋は麗しい少女孫玉姣に出会いお互いに一目惚れする。そこでわざと孫家の門前に玉の腕輪を落として孫玉姣に拾わせる。誰も見ていないことを確かめ、そっと腕輪を拾う玉姣。その一部始終を見ていた劉媒婆が、さんざん玉姣をからかいながらも、二人の仲を取り持つ約束をする。若い二人役者の唱としぐさで楽しめる。大変可笑しく愉快な人情劇!
宋代の物語。南陽の絹織物商人劉世昌は商売を終えて家に帰る途中、趙大という男の元で雨宿りした。趙大は劉世昌の金に欲心を起こし毒を飲ませて殺し、死体を焼いて「烏盆(黒い焼き物の器)」を作る。何も知らぬまま趙大からその烏盆をもらった張別古の元に劉世昌の幽霊が現れ、無念の死を訴え出て欲しいと頼む。中国版大岡越前とも呼ぶべき包拯が事の真相を究明し、犯人趙大を捕らえるよう命令を下す!北京オペラと呼ばれる唱とユーモアあふれる台詞のやりとりを存分に楽しめる作品。主人公毒殺シーンでの役者の演技は京劇でしか体験出来ない驚きと衝撃を与える!
唐代の物語。薛平貴は妻の父王允に身分の違いから結婚を認められず、洞窟で貧しい新婚生活を送っていた。戦功を立て官職を与えられたのも束の間、王允は西凉国の戦場に平貴を送り込む算段をする。沈痛な思いで新妻王宝釧に別れを告げる平貴。いつ戻るか知れない自分を待たず父の元に戻るよう勧めるが、宝釧を振りきり、平貴は涙ながらに旅立つ。夫婦生き別れの愁嘆場が役者の唱、台詞、しぐさを通して綴られ胸を打つ!
宋江を頭目とする梁山泊軍は、村々を宋から解放していくが、祝家荘を攻めたとき、祝家荘と同盟関係にある扈家荘の武術に秀でた美女・扈三娘が、槍を持って祝家荘の救援に駆け付ける。扈三娘の武威はすさまじく、梁山泊の豪傑・王英はついに生け捕られてしまう。
仏法の許さぬ人間との結婚をした白蛇の化身・白素貞を主人公にした民話に題材を得る長編ドラマです。
愛する夫許仙の勧めるままに雄黄酒を飲んだ白素貞は、そのために白蛇の正体を現してしまい、許仙を驚死させてしまう。許仙を蘇生させるため白素貞は仙山に入り霊芝を摘もうとするが、山を守る鶴や鹿の精と戦いになり死闘を繰り広げる。沢山の槍を次々にさばく妙技が見所!
長い絹のリボンを使い、天女の美しい踊りを見せます。この演目は名優、梅蘭芳の創作によるものです。観客にとっては優雅に見える演目ですが、演じる女優は息を切らせることなく歌い、数メートルもあるリボンをからませずに絶えず空中に泳がせ、操らなければなりません。かなりの体力と持久力を必要とします。
お釈迦様が蓮華宝座で仏教の講釈をしていた時、維摩居士が病気にかかったことを知ります。そこで文珠菩薩に命じて、菩薩と弟子たちに見舞いに行かせ、さらに天女に散花するように命じたのです。お釈迦様の命に従って天女は花篭を手にして維摩の部屋に入りました。そして花を散らし、また西方に戻って行くのでした。
時は宋、抗遼戦争の中、楊家の将、楊八姐は、男に扮し遼国の偵察を行っていた。その帰路一軒の店先で強引に主人に誘われてしまう。 実はこの主人、元宋の軍人だが、通行手形がないため、国に帰れなくなってしまい、八姐の通行手形を狙っているのだ。八姐は通行手形を取られてしまうのか?
宋時代、陳妙常は、想いをよせる潘必正が都へ旅立ったことを知り、尼寺を捨て船着場へ駆け付けるが、既に船は都へ向けて発った後。川辺に老船頭を見 つけると、恋人の乗る船を急いで追いかけるように頼みこむ。ところが老船頭は、彼女の慌てふためく様子を見るとわざと出発をじらしたり、やっと船を出したかとおもえば、船中では陳妙常をさんざんからかったり。それでも心根のやさしい老船頭は、最後には鮮やかな櫂さばきを披露し、見事恋人の乗る船に追いつく。
舞台写真:百井謙子