三国志は、180年から280年頃に掛けて、魏・呉・蜀の三国が争覇した史実を記述した歴史書ですが、小説や京劇などで上演されているものは、三国志演義と呼ばれる後世に作られた説話や雑劇をまとめた小説が元になっています。
その【三国志演義】から京劇の演目になっている代表的な物語に以下のようなものがあります。
三国志演義の前半のクライマックスである「赤壁の戦い」は、ジョン・ウー監督の映画「レッドクリフ」でも描かれている大変有名な物語です。三国志演義自体が長い長い物語ですので、京劇にもたくさんの演目があります。また戦国時代の物語ゆえに、立ち回りが非常に映える舞台となります。
登場人物では、長坂坡などで活躍する「趙雲」や後世では神格化されている「関羽」が、特別な役柄として京劇で描かれています。
【人物 】常山郡真定県出身。袁紹、公孫サン、劉備に仕官する。劉備のもとで関羽・張飛に次ぐ猛将として活躍。彼らの死後、五虎将唯一の生き残りとして諸葛亮を助け、蜀軍のために戦っていたが、70才過ぎで病に倒れた。
京劇の趙雲は二枚目の代表とも言え、文武双全の役として最もやりがいのある役です。歌、台詞、立ち回りすべて高い技術を要求され、特に立ち回りの綺麗さと見栄の凛々しさが見どころです。
主な代表演目:「長坂坡」「金鎖陣」「陽平関」「借趙雲」など
演じた京劇俳優:清の末頃から活躍した国劇宗師「楊小楼(西太后も贔屓にした名優)」が演じた趙雲は、「活趙雲」と絶称され、以後楊派の趙雲は後世の模範となりました。
※張紹成は、楊派の第二代の名優京劇の重鎮王金璐氏の直伝の弟子です
【人物 】関羽(162年 - 219年)は劉備の蜀漢の武将。『三国志演義』に登場する武将の中でも諸葛亮と並んで人気があり、義を重んじたため、後世の人間が神格化し関帝(関聖帝君)とした。商売の神として、世界中の中華街で祭られている。『三国志演義』の中でも特別扱いされており、関羽ではなく関公と記述されている。
京劇の関羽は特別な役柄ととして設けられて、歌、台詞、立ち姿、動きなど特有な威厳さを持つ非常に高い芸の力が必要です。 特に神格化されたため、関羽を演じる前と後に、関羽様の画の前でお香立て、決まりの儀式をしてから登場することがあります。
主な代表演目:「斬華雄」「約三事」「白馬坡」「過五関、斬六将」「古城会」「華栄道」「走麦城」などなど
演じた京劇俳優:清の末頃から活躍した名優「王鴻壽」が関羽の演技を大幅に革新し、近代関羽の元祖となりました。弟子の中で一番有名な「李洪春」は、「活関羽」と絶称され後世の模範になりました。
※張紹成は、李派の第二代の名優京劇の重鎮王金璐氏の直伝の弟子です
舞台写真:木村武司/井田裕明/百井謙子